上映時間約三時間の「ドライブ・マイ・カー」は、心配していたよりは長くない。

ドライブ・マイ・カー 映画

カンヌ国際映画祭で四冠、本場アメリカのアカデミー賞の複数部門にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」(公式サイト)。上映時間がどんどん短くなる昨今、179分が長いか、長さを感じないか、見るのをためらう方もいらっしゃるかと思います。

結論から申し上げると、演劇好き、クルマの運転が好き、ロードムービーが好き、西島秀俊の筋肉が好き、であれば三時間はあっという間です。問題は、トイレくらいです。トイレが気になる方は、配信はいかがでしょう?

わたしは、見終わってからずっと「なんだかわからない感情」に浸っています。それは決して不快ではありません。わかろうとしないことも大事なのだなと思っています。

あと、音楽が寄り添うようで、距離を保ち、クールなようでいてそっけないわけでもなく、カッコよかったです。(音楽:石橋英子)

ゴドーを待ちながら

演劇人であること、が、この映画の主人公のキモなので、難解な舞台だったり、映画祭のオーディション、稽古風景が占める割合がかなり独特で大きかったです。

主人公である家福(かふく)が演じたラストシーンだけのサミュエル・ベケットの不条理劇「ゴドーを待ちながら」は、西島秀俊演じるところの舞台で全編観たいものです。

いわゆる「演劇」の解釈だったり、表現方法だったりで飽きてしまうともったいない。言葉、発声すること、声のない表現、日本語だけでなく複数の言語が同時に繰り広げられる不思議なステージ。

よくわからないものに身を浸してみるのも、悪くないです。

後半は、チェホフの「ワーニャ伯父さん」のストーリーが、あたかも彼らの現実の比喩のように使われています。

原作のあらすじだけでも、あとで確かめたいです。Amazon kindleだと「ワーニャ伯父さん」無料でした。早速ダウンロード。

そう、この映画の原作である村上春樹さんの短編「女のいない男たち」もあわせて読んでみたいです。

ドライブ・マイ・カー
みなりに構わない無造作なドライバー

ドライバー役の三浦透子は、ここのところNHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ(ヒロインの親友)」や大河ドラマ「鎌倉殿の13人(義経の相手役)」にも出演している勢いのある女優さんです。

が、渡利みさきという役では、見事にパッとしない外観です。サイズが合っていないような、若さを感じられないデザインと色合いの服装。髪も無造作です。

ドライバーとして「女性性、女らしさ」を排除していたのだろうか。それとも生い立ちに関係しているのか。にしても、オジサンっぽい恰好でした。

ただ、運転はとてもうまい。当初けげんな面持ちであった家福が「クルマに乗っていることを忘れてしまう」と言うくらいのスキルの持ち主です。

ほんのわずかずつお互いを認め合うシーンがステキでした。寒くても、駐車スペース脇のベンチで本を読んで待っている彼女。待ち時間を本で過ごすシーンは、最近あまり見ないです。みんな携帯電話をいじっていますよね、このごろは。

観光名所のほとんど出ない広島

広島で行われる演劇祭のために人が集まり、演じる人、スタッフ、翻訳者などふだんあまり見ることのない裏方の仕事、出来事が淡々と進んでいきます。

広島は、かなり前に仕事で一カ月くらい滞在していたことがあります。知っている景色は、ほとんど出てきませんでしたが、観光とは無縁の風景が続きます。

家福に用意された島の住居から見える海の光景は物悲しくも静かでした。海が見える部屋の窓なんて、日本海側をつい思い浮かべてしまうわたしには風が強そうと思いがちですが、そこは「瀬戸内海」なのでした。

静かな海でした。

ストーリーは、展開し、いったんロードムービーのようになります。

それぞれが、言葉だったり、カラダのアクションだったりで「思いを伝えること」が、ポイントに感じました。伝えようとしたものを一瞬ひるんだことで受け取れなかったこと。

見たくないものを受け入れることの切なさが、痛かったです。

韓国の女優さん「パク・ユリム」がとても素敵でした。チャーミングで凛として、なまえを覚えておこう。

しばらくは思い出しては、かみしめるように過ごしたいと思っています。では、また!

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